今回は個人事業主の方、また法人である企業が事業転換や新事業として貨物軽自動車運送事業を始める際にどのような手順で手続きを踏むと開業に至るのかなどを書きたいと思います。
軽自動車を用いて運送事業を営む事業を貨物軽自動車運送事業ですが、一般的な軽自動車と運送事業で使用されている軽自動車は少し違います。
大きく違うのはナンバーの色です。
そういった点や、開業に必要な手続き、どのような申請手続きがあり、どこに提出するのかなど細かく説明していきます。
目次
●運輸支局とは
●軽自動車検査協会とは
●【税務署編】
●【運輸支局編】
○経営届出書
☆経営変更届出書のおまけ☆
○運賃料金表
○事業用自動車等連絡書
●黒ナンバーを使用するためには
●黒ナンバーはどこで発行されるのか
○【軽自動車検査協会編】
○名義変更の手続き
☆名義変更手続きのおまけ☆
○事業用ナンバー
■貨物軽自動車運送事業とは
貨物軽自動車運送事業とは、他人の需要に応じて、有償(賃金が発生する)で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業のことを指します。
軽自動車(軽トラック)を使用して他人から運送の依頼を受けて、荷物を運送し、運賃を受け取る場合のことを指し、貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は、営業所を管轄する運輸支局長へ届出が必要です。
では次に、開業までの一連の流れを書いていきます。
■貨物軽自動車運送事業の開業までの一連の流れ
個人事業主として開業の場合と法人として事業追加として開業する場合で多少違います。
【個人事業主として開業の場合】
①〜③の手順
最寄の税務署で「個人事業主の開業・廃業等届出書」を提出→管轄の運輸支局→軽自動車検査協会という流れになります。
【法人として事業追加として開業する場合】
②〜③の手順
管轄の運輸支局→軽自動車検査協会という流れになります。
では、運輸支局と軽自動車検査協会とは何かと、それぞれの場所でどの様な事をするのかを次に書きます。
●運輸支局とは
一般的に自動車の検査・登録(ナンバープレートの交付)、自動車の整備関係事務(車検)などを行う場所を指します。
●軽自動車検査協会とは
運輸支局とは違った、軽二輪を除く軽自動車の検査・登録(ナンバープレートの交付)、軽自動車の整備関係事務(車検)などを行う場所を指します。
①最寄の税務署へ(個人事業主の場合)
最寄の税務署で貨物軽自動車運送事業者として「個人事業主の開業・廃業等届出書」を提出します。
②管轄の運輸支局へ
まず貨物軽自動車運送事業を開業するにあたり、営業所(個人なら住所、法人なら所在地)の管轄の運輸支局の輸送課に経営届出書+運賃料金表の提出が必要となります。
その際に使用予定の車両の事業用自動車等連絡書+車検証も同時に提出します。
※車両自体が車屋さんで整備中などの場合もありますので経営届出書+運賃料金表のみで後から事業用自動車等連絡書+車検証を提出する事も可能です。
③管轄の軽自動車検査協会へ
運輸支局への提出物に受領印が押された後に、管轄の軽自動車検査協会へ実際に使用する軽自動車と提出物を用いて申請します。
軽自動車検査協会では実際に使用する軽自動車の検査(貨物として)と各種申請書類を提出し事業用ナンバー(黒ナンバー)を発行してもらいます。
※ほとんどの場合、車両を購入した車屋さんが手続きを行ってくれます。
ここまでが開業までの一連の流れとなります。
ここまでの流れの中で税務署、運輸支局、軽自動車検査協会にて各種申請や手続きなどを書きましたがその中で「個人事業主の開業・廃業等届出書?経営届出書?運賃表?事業用自動車等連絡書?事業用ナンバー(黒ナンバー)」など色々な用語が出てきましたね・・・。
次にそれぞれの用語の説明を各場所毎に説明していきますね!
■貨物軽自動車運送事業を開業する際にそれぞれの場所で必要な手続き
●【税務署編】
まず個人事業主の方は最寄の税務署で貨物軽自動車運送事業を開業する旨「個人事業主の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。
原則事業を開始してから1ヶ月以内に提出する必要があります。
以下の書式に記入して提出します。
●【運輸支局編】
管轄の運輸支局ではまず経営届出書を事業者登録として提出します。それに付帯して運賃料金表と事業用自動車等連絡書と車検証のコピーを提出します。ま経営届出書
○経営届出書
貨物軽自動車運送事業者として申請書に開始予定日と事業者情報、営業所の名称及び位置、事業用自動車の種別ごとの数、自動車車庫の位置及び収容能力、乗務員の休憩または睡眠のための施設の位置及び収容能力などを記載します。
ただ住所に同じというチェックマークがあるので比較的記入は簡単です。
運送約款にチェックを入れ運行管理の責任者を記載し、誓約書の内容に基づきチェックを入れて作成完了です。
※ここでいう運行管理の責任者は一般貨物自動車運送事業などで必要な運行管理者としての資格を保有していなければならない訳ではありません。
貨物軽自動車運送事業においての運行管理の責任者は個人事業主であれば本人、法人であれば選任者を記載します。
☆経営変更届出書のおまけ☆
開業後のお話になりますが、1台から2台に車両を増やしたい場合は経営変更届出書を提出します。
経営届出書と同じ内容を記載し変更となる部分の旧台数と新台数や保管場所なども変更があれば記載します。
○運賃料金表
貨物軽自動車運送事業を開業する際に、実際に運送案件を開始した場合配送料が発生します。その際に発生する賃金が分かる運賃表を運輸支局へ提出する必要があります。
各都道府県毎に雛形が用意されている場合もありますが、独自での作成が必要となります。
今回はあくまで見本として定められている料金表を基にします。
運賃表の中には運賃の割り出し方法にいくつか種類があります。
実際にお仕事を受託する際には大きく分けて2種類になり、そこから付加価値を付けたりして賃金が確定していきます。
各項目毎に説明していきますね。
運賃料金表に記載する運賃の割り出し方法としては、
【距離制運賃表】 【時間制運賃表】 の2つが主となります。
【距離制運賃表】 距離制料金とは、配送依頼のあった荷物を受け取り(集荷)荷物の指定届け先(納品)までの距離により変動する料金設定を指します。 例:1km160円(〜50kmまで)として設定した場合。
10kmまでを1,600円とし、以降1kmごとに160円加算されていきます。 また、50kmを超えた場合(51km〜)は1kmごとに130円増加し、100kmを超えると(101km〜)1kmごとに100円増加します。
この様に運賃を設定していきます。
【時間制運賃表】 時間制料金は、荷物を受け取り(集荷)荷物の指定届け先(納品)までの時間で報酬が決まります。
また、作業込みなどの場合も時間制の場合は時間制運賃に含まれる場合があります。 例:1h 1,500円〜などと設定し配送業務内容(距離)などでの運賃割り出しはせずに、あくまで時間での賃金を設定しその時間の中で報酬が発生します。
【立寄り料金】 立寄り料金とは、通常の配送依頼はA地点→B地点での依頼ですが、納品先が1軒ではなく複数軒ある際に適用される場合があります。
なぜ適用されるかというと、複数軒納品先があったとしても〇〇kmまでは一律料金を設定していた場合、一律料金内で運賃は収まるが、ドライバーさんからすると配送内容は複数軒ある場合、その都度納品先での配達業務も追加されるので付加価値を設定してもらう事により立寄りでの業務が増えても運賃に反映させる料金設定。
【積み置き料金】 積み置き料金とは、荷物の集荷日と納品日が同日ではない場合に発生する料金です。
なぜ発生するかというと基本的に車両内での保管となり、その荷物を積んでいる間は他案件での配送業務を受ける事が出来ないため。
なので数日間に渡る依頼の場合は、別案件での報酬が見込めないので付加価値として設定してもらいます。
【キャンセル料金】 キャンセル料金とはその名の通り、依頼を受けた後にドライバーさんを選定済みの状態で当日や前日にキャンセル依頼を受けた場合、すぐに他の案件を埋められない事もあり
その場合ドライバーさんは仕事が空いてしまいます。
なのでキャンセル料金の設定が存在します。
料金表に関しては、サンプルを無料提供しております。
以下の問合せフォームよりお問合せくださいませ。
○事業用自動車等連絡書
事業用自動車等連絡書とは、貨物自動車(黒ナンバー)の使用者となる運送事業者が運輸支局での申請が完了していることを証明する書類です。
事業用自動車等連絡書(連絡票)は事業用自動車について軽自動車検査協会で登録手続をする際に必要となる書類です。
■軽車両に使用される黒ナンバーとは
いわゆる黒ナンバーとは貨物用ナンバーを指します。
貨物軽自動車運送事業で使用される貨物ナンバーの色は本来の軽自動車の黄色のナンバープレートとは違い黒色のナンバープレートとなります。
●黒ナンバーを使用するためには
管轄の運輸支局にて先にも書きました、貨物軽自動車運送事業者届け(経営届出書、運賃料金表)を提出し、事業用として使用する車両の(事業用自動車等連絡書、車検証のコピー)必要書類を提出し受理された書類を用いて、管轄の軽自動車検査協会に行き事業用ナンバー(黒ナンバー)を取得します。
●黒ナンバーはどこで発行されるのか
この後に細かく書きますが、管轄の軽自動車検査協会に行き事業用ナンバー(黒ナンバー)を取得します。
○【軽自動車検査協会編】
管轄の運輸支局にて、「経営届出書、運賃料金表、事業用自動車等連絡書」の提出が完了し受領して頂いたらいよいよ最後の軽自動車検査協会です。
○名義変更の手続き
貨物軽自動車運送事業で使用する車両を自身(法人の場合は法人名)に変更します。
必要な書類は以下となります。
〈個人の場合〉
①事業用自動車等連絡書(運輸支局にて提出した)
②車検証のコピー(使用する車両)
③住民票(マイナンバーが記載されていないもの)、印鑑証明書(写し可能)
④自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)
⑤申請依頼書(代理人が申請を行う場合)
〈法人の場合〉
①事業用自動車等連絡書(運輸支局にて提出した)
②車検証のコピー(使用する車両)
③商業登記簿謄本、登記事項証明書、印鑑(登録)証明書(写し可能)
④自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)
⑤申請依頼書(代理人が申請を行う場合)
○事業用ナンバー
事業用ナンバー(黒ナンバー)の発行に伴い、名義変更の手続きが完了し、管轄の運輸支局で受理された事業用ナンバーで使用する車両にナンバーを発行してもらいます。
この際に注意なのが、車検証の「用途」の部分が「自家用」なのか「貨物」なのかです。
この用途を「貨物」にする必要があり、自家用の場合には車内の構造変更が必要となり構造等変更検査を受けなければなりません。
例:後部座席を外し後ろのスペースをフラットにするなど。
☆名義変更手続きのおまけ☆
こちらの名義変更ですが、既に貨物軽自動車運送事業で使用されていて同区内から同区内での名義変更の場合にはナンバー変更が必要ありません。
※新規で軽自動車(新車・中古問わず)を購入した場合には、車屋さんに検査協会の部分はお願いする事をお勧めします。
■貨物軽自動車運送事業開業のまとめ
貨物軽自動車運送事業の始め方について書きましたが、いかがでしたか?
よく入り口の広い業界などと言われていますが、あくまで特別な資格や事業用許可を取得する必要はないものの開業までの手続きは意外に細かくルールがあります。
まず個人事業主として開業される方は、開業届は所得税法で、事業開始から1ヵ月以内に提出しなければならないと定められています。
しかし、開業届を出さなくても特に罰則はなく、開業した年の事業収支をすべてまとめて税務署に確定申告すれば、それが開業届の代わりになります。
もちろん開業届を提出することが好ましいですが、実際には確定申告の際にしっかりとして申告をすれば開業届とみなされます。
管轄の運輸支局に関しては、代理でも申請は行えます。ですが軽自動車検査協会での申請関連には委任状が必要なので注意です。
諸々まとめると、新規で開業する際には管轄の運輸支局→軽自動車検査協会までは一括して車を購入した車屋さんにお願いすることがベストです。
法人として、事業が何年か経過し事業拡大のために増車などをしていく際には自身で行える様になっておくと1日で終わります。
運賃表の部分で設定する運賃は基本的には「スポット・チャーター」として突発の案件に適用することがほとんどとなり、実際には定期案件としてお仕事を受ける際には荷主さんの意向を含めて依頼内容を元にこちらから金額設定を提案し、双方で取り決める場合や、荷主さんの運賃での受託になることが多いです。
SGでは出回っている運賃表や他社の運賃よりも多少割高になっている事が多々ありますが、私達は「安い」を売りにしてはいません。
他社さんよりも金額が高い分、依頼主様の看板を共に背負い、プロとしての配送や応対はもちろん、柔軟性持ち「こんなことできないかな」を叶えます。
良い賃金設定する事によって、従業員やドライバーさんまで
「その賃金に見合う仕事をしなきゃ」という高い意識になり良い仕事に繋がっていると感じています。
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