軽貨物ドライバーを開業したいと考えている方は、黒ナンバーをご存知でしょうか。
黒ナンバーを初めて聞いたという方にも、ここでは黒ナンバーについて分かりやすく解説していきます。
自家用車との違いや、取得した際のメリット、実際にかかる費用なども併せてご紹介します。
黒ナンバーを取得したい方も、まだ検討中の方もぜひ参考にして下さい。
目次
●黒ナンバーと緑ナンバーの違い
●黒ナンバーと白ナンバー(黄ナンバー)の違い
●軽貨物車両なら黒ナンバーを取得しなければならない?
●黒ナンバーを取得するメリットとデメリット
○黒ナンバーを取得するメリット
○黒ナンバーのデメリット
●車を1台以上所有する必要がある
●営業所・休憩所・車庫を保有する
●運送約款を用意する
●運行管理等の管理体制を整えている
●損害賠償能力がある
●どこに提出するか
●必要な書類
○運輸局で必要になる書類
○軽自動車検査協会で必要になる書類
●黒ナンバー車両の税金
○重量税
○自動車税
●黒ナンバー車両の保険料はどうなる?
○自賠責保険
○任意保険
■黒ナンバーとは?
黒ナンバーとは軽貨物業者が事業用に使用する車両のナンバープレートを指します。
黒色のナンバープレートに黄色の文字が特徴です。
黒ナンバーは法人だけではなく、個人事業主で軽貨物ドライバーを行っている方も登録が可能です。
ナンバーにはさまざまな色がありますが、黒ナンバーとして登録されている車両は軽貨物自動車のみとなっています。
●黒ナンバーと緑ナンバーの違い
緑ナンバーの事業用車両を見かけたことはありませんか。
黒ナンバーと緑ナンバーはどちらも事業用の車に付けられるナンバーですが、違いは排気量にあります。
黒ナンバー…バイクや軽自動車などの車両が対象。
緑ナンバー…普通車以上の排気量を持つ車両が対象。
黒ナンバーは、デリバリーバイクや配送用の軽車両に付けられます。
緑ナンバーはタクシーやハイヤー、高速バス、運送用のトラックなど排気量の多い車両に付けられています。
●黒ナンバーと白ナンバー(黄ナンバー)の違い
自家用車など一般車両は白ナンバーに該当します。
白地に緑の文字のプレートは最も見かけるナンバープレートではないでしょうか。
例外として、たまにトラックでも白ナンバーのものを見かけることがあります。
一般車両ではありませんが、自社の荷物を運ぶためだけの車両も白ナンバーに該当します。
また、消防車や救急車なども白ナンバーに該当します。
●軽貨物車両なら黒ナンバーを取得しなければならない?
黒ナンバーの車両を意識してみると、意外と町中で見かけることも多いです。
軽貨物ドライバーとして稼働する際は、必ず黒ナンバーを取得しなければならないのでしょうか。
結論から申しますと、軽貨物ドライバーとして働く場合、黒ナンバーの取得は必須です。
白ナンバー(黄ナンバー)でも仕事が可能なケースは以下になります。
自社製品を自社に運送する
送迎サービスが無償である
食品などを加工して、自社の支店に運ぶ場合は「自社製品を自社に運送する」に該当します。
社内の役員やデイサービスで利用者を送迎する場合も「送迎サービスが無償である」ケースに当てはまります。
白ナンバー(黄ナンバー)で貨物業を行う際は限定的な仕事しかできません。
軽貨物ドライバーとして仕事をするには、黒ナンバー取得が必要です。
●黒ナンバーを取得するメリットとデメリット
黒ナンバーを取得するメリットとデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
黄ナンバー(軽自動車)とは少し異なった部分があるので、違いも押さえておきましょう。
○黒ナンバーを取得するメリット
①リース車両で開業することができる
黒ナンバーは購入した車両でなくても取得することが可能です。
開業する際、初期費用を抑えることはリスクヘッジのためにも重要なことです。
軽貨物車両の購入は価格も高く、すぐに購入するか迷う人も多いと思います。
リース車両であっても黒ナンバーを取得し、開業届を提出することが可能です。
②税金関係の優遇
黒ナンバー取得の最大のメリットは、税金が優遇されることです。
登録免許税
軽自動車税
自動車重量税
登録免許税に関しては、黒ナンバーを取得することで免除となります。
軽自動車税と自動車重量税は、税金の負担が軽減されます。
自家用車よりも軽貨物車両の方が税金の負担は少ないのです。
税金の負担が少しでも軽くなることで、他のところに費用がまわせると思います。
③貨物保険に加入できる
貨物保険を登録するためには黒ナンバーを取得必須となります。
積載する貨物に対する保険加入は依頼側(荷主側)では強く求めてきます。
○黒ナンバーのデメリット
黒ナンバーを取得すると開業する際にメリットがありますが、デメリットも発生します。
それは、車両の任意保険の金額が上がってしまう点です。
軽貨物車両に仕事として乗っていれば、一般的な人より車両に乗っている時間は多くなり、走行距離も長くなります。
車両に乗っている時間が長いということは、事故に合う確率も高くなり保険料も多少上がります。
詳しい保険料については後ほど説明します。
■黒ナンバーを取得するために必要な条件
黒ナンバーを取得するには事前の用意が必要なのでしょうか。
取得したい方は、下記の条件を揃える必要があります。
条件は主に5つあります。
①車を1台以上所有する必要がある
②営業所・休憩所・車庫を保有する
③運送約款を用意する
④運行管理等の管理体制を整えている
⑤損害賠償能力がある
●①車を1台以上所有する必要がある
車であればなんでも良い、というわけではありません。
黒ナンバーを取得するには黄ナンバーの中でも「4ナンバー」と言われる車両でないとそのままの状態では登録することができません。
4ナンバーの場合…車検証の用途欄が【貨物】となっています。
5ナンバーの場合…車検証の用途欄が【乗用】となっています。
車のメーカーが車を販売するうえで、以下が大きく異なります。
【貨物用】として製造・販売している
【乗用】として製造・販売している
用途が「貨物」で登録されているのが4ナンバーです。
4ナンバーであれば、リースの車両でも軽貨物車両として黒ナンバーが取得できます。
通常の車両は5ナンバーで登録されています。5ナンバーは車検証を確認すると用途が「常用」で登録されています。
このため、自家用車として所有している5ナンバーの軽自動車を、そのままの状態で黒ナンバーに転用することはできません。
※後部座席を取り除くなどのカスタムを車屋にしてもらい、その状態で軽自動車検査協会に行って手続きを行う必要があります。以降、車検の度に状態を確認されることになります。(但し、5ナンバーの軽自動車を無理やりカスタマイズしても、車検証の最大積載量は増えませんので、基本的には100kg~150kg程度の荷物しか運べません※4ナンバーの場合には、多くの車両が最大積載量350kgです)
●②営業所・休憩所・車庫を保有する
事業を開業するには場所が必要になります。
営業所や休憩所、車庫は自己所有ではなく賃貸でも登録が可能です。
今使っている自宅を営業所や休憩所、車庫として登録することも可能です。
営業所と駐車場が併設していない場合は、営業所より2㎞以内の場所に駐車場を借りると登録可能となります。
●③運送約款を用意する
運送約款は利用料や運賃などを利用者にわかりやすく明記したものを指します。
黒ナンバーを登録する場合には、旅行客ではなく貨物を対象に運送を行う旨を記載しなければなりません。
事業所で準備する必要がありますが、国土交通省の運送約款に順じて業務を遂行する場合は運送約款の提出の手続きを省略することができます。
●④運行管理等の管理体制を整えている
事業を行う際、運行や管理体制を整えておく必要があります。
しかし、黒ナンバーで軽貨物運送を行うのであれば、運行管理者や整備管理者をわざわざ確保する必要はありません。
事業が展開して車両台数が増えた場合は整備管理者の確保が必要な場合もあります。
●⑤損害賠償能力がある
損害賠償能力があると証明するため、自動車保険などに加入する計画を示す必要があります。
加入が義務付けられている自賠責保険だけではなく、任意保険への加入の計画も必要となります。
■黒ナンバーを取得する際に必要な書類や手続き
黒ナンバーを取得する際の要件を確認した上で、次はどのような書類を準備し、どこに提出するのかを確認していきましょう。
●どこに提出するか
手続きを行う場所は「運輸局」と「軽自動車検査協会」の2か所に行く必要があります。
はじめに運輸局へ行き「事業用自動車等連絡書」に受領印をもらう必要があります。
受領印をもらった事業用自動車等連絡書を軽自動車検査協会へ提出します。
その際に黒ナンバーの取得や名義変更を済ませることができます。
運輸局と軽自動車検査協会は同一敷地内にある地域が多いので、まとめて手続きが可能なケースもあります。
●必要な書類
運輸局と軽自動車検査協会に提出する書類は異なります。
○運輸局で必要になる書類
貨物軽自動車運送事業経営届出書(提出用・控え用 2部)
運賃料金表(提出用・控え用 2部)
事業用自動車等連絡書
車検証(コピーでも可)
「貨物軽自動車運送事業経営届出書」と「運賃料金表」は控えの用紙もあります。
軽貨物事業を行っていると証明する書類でもありますので、申請後も厳重に保管しておきましょう。
○軽自動車検査協会で必要になる書類
車検証(原本)
印鑑
使用する黄色ナンバープレート(前と後ろの2枚)
事業用自動車等連絡書(運輸局の受領印付き)
住民票(法人の場合は法人謄本)
申請依頼書(代理人が手続きをする場合はこちらが必要)
運輸局では車検証がコピーでも手続き可能でしたが、軽自動車検査協会では原本が必要となりますのでご注意下さい。
書類ではありませんがこちらでは印鑑も必要となります。
■黒ナンバーを取得する際に掛かる時間やお金
上記の手続きが不備なく完了した場合、黒ナンバーは最短当日での発行が可能です。
黒ナンバーは別途購入することになりますが、1,500円程度で購入が可能です。
申請を行ってからは意外と早く黒ナンバーを手にすることが出来ます。
取得するまでの必要な条件と書類の準備に時間が掛かると思うので、計画的に進めていきましょう。
■黒ナンバーを取得した後に発生する費用
黒ナンバー自体は1,500円程度のお手頃な価格で購入できます。
黒ナンバーを取得した後に発生する費用はどのくらい掛かるのでしょうか。
●黒ナンバー車両の税金
黒ナンバーを取得した車両の税金は黄ナンバーの時よりも優遇されると先述しました。
実際に発生する金額を確認してみましょう。
○重量税
黒ナンバーの重量税は2年間分で5,200円です。
黄ナンバーは6,600円です。
※新規登録から13年以上経っていない車両が対象
○自動車税
黒ナンバーの自動車税は年額3,800円です。
自家用車の場合は年額5,000円です。
※初度検査年月が平成27年4月以後の車両
どちらを比べてみても、黒ナンバーの方が安いことがわかります。
●黒ナンバー車両の保険料はどうなる?
自家用車よりも値段が上がってしまう保険料はいくらになるのでしょうか。
○自賠責保険
黒ナンバーの自賠責保険は年額30,840円です。
自家用車の場合は23,150円なので、割高に設定されています。
○任意保険
取り扱う保険会社によって金額が異なりますが、自家用車の3~4割増くらいの料金で設定されています。
運転者年齢条件の特約が適用されないため、割高になっています。
また、自家用車を対象とした任意保険と比べると、黒ナンバーを対象とする任意保険は取り扱う会社も少ないのが現状です。
■黒ナンバーを取得する際のQ&A
Q.営業車は中古車両でも申請可能ですか?
Q.自己所有ではない車両での申請は可能ですか?
Q.現在所有している5ナンバー車両を黒ナンバーに変更したい。
Q.運行管理者や整備管理者は必要ありませんか?
■株式会社SGなら黒ナンバー車両取得のお手伝いを致します
株式会社SGは東京23区を中心とした東京・千葉・埼玉・神奈川など首都圏を中心とした運送会社です。
軽貨物ドライバーの方向けに業務委託契約による配送案件を多数保有しています。
開業を検討されている軽貨物ドライバーの方へ、黒ナンバーの取得や開業届など事務手続きをサポートする開業支援も行っています。
株式会社SGでは軽貨物ドライバーとして現場経験のあるスタッフが対応致しますので、お気軽に開業の不安や悩みをご相談下さい。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
黒ナンバー取得の手続きは必要書類を揃え、1,500円程度で最短当日に発行することが可能です。
しかし、必要書類の中には複雑なものもあり、全て揃えるには時間が掛かってしまうこともあります。
株式会社SGでは黒ナンバーの取得だけではなく、開業に関する手続きから配送案件のご相談まで幅広く受け付けております。
軽貨物ドライバーで開業したいとお考えの方は、ぜひ株式会社SGまでご相談下さい。
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